世の中にバレンタインデーというものがあるのを知ったのは、小学6年生の時だった。
本田さんという女の子が突然、ピンク色で包装された箱をくれた。
何でくれたのか分からず、家で箱を開けるとハートマークのチョコレートが入っていた。
さすがに、意味を理解した。
そこからしばらく、本田さんを避けるようになってしまった。
照れくさかったからだ。
貰ったチョコレートは、口もつけず大事にとっておいた。
しばらくすると、チョコレートは白い粉を吹いていた…
1ヶ月後くらいに母親とスーパーで買い物をしていると、「本田さんにホワイトデーのお返しは買わないのか?」と尋ねてきた。
ホワイトデー?
なんのことか尋ねると、「バレンタインのお返し!」と教えてくれた。
「どうして本田さんからチョコレートを貰ったことを知っているんだ⁉」と、少し慌ててしまい「要らない!」とぶっきらぼうに答えてしまった。
「じゃあ、お母さんが買って、本田さんのお母さんに渡しておくわ!」と言った。
どうやら、母親同士でつながっているのだと知らされた。
今思えば、幼い頃のシャイな思い出だ。
この「シャイ」という性格は今も変わっていないかも知れない。